12月からベルグの仲間となりがんばってきてくれた宮ちゃんが、期間満了に伴い、今日ベルグを旅立っていきます。
春は別れのとき・・・
毎年のことですが。。。
見える景色もすべて変わり、白銀の世界の日々がまるで夢だったかのように、静かな栂池へ、そして静かなベルグへと移り変わっていきます。
物腰柔らかで、心も柔らかで。
いつも優しい笑顔を絶やさない宮ちゃん。素敵な青年でした。
一時はこのままベルグにいてくれるのかな?という彼の気持ちを感じていましたが、やはりこれだけ素敵な彼です。任期満了目前になって、以前から入っていた山小屋さんから大役を任されるお話がきて、彼は本気で真剣に考え、真摯に自分で答えを出してくれました。
それだけでも…私にとっては「働く」という大事な場所として一時でも大好きな小屋とベルグでの新しい道どちらをとるかと真剣に考えてくれたこと自体が、なんと有り難いことかと思っています。
何より私が感銘を受けたのは、彼の文章♪
彼の人柄そのものが溢れるその文面には引き込まれる世界があり、いつのまにか私自身も宮ちゃんのブログを楽しみに待つようになっていました。
「女将さん・・・」答えを決めたとき彼は語ってくれました。
どうか誤解しないで頂きたいのは、ベルグは大変魅力的でとても創造性豊かな職場だということ。もちろん僕は小屋にも同じ思いはあるけれど、ベルグはちょっと他とは比べられないような素晴らしさを持っている職場だと、働いていてひしひしと感じました。世の中にきっちりとした企業は数あれど、これだけ温かい言葉をかけ合えるところはなかなかないだろうと思いました。
そう語ってくれました。
14年前から始まったベルグ大革命は、まだまだゴールではありません。小さな変化、大きな改革、いくつもいくつも、ひとつづつ重ねてきました。大きく変わるときはいつも激震が走ります。これまでも何度も何度もその激震を乗り越えてきました。
今年は特に大きくまた一段登る時。
これは、これまで積み重ねてきたものがしっかり熟したおかげ。間違っていなかったのだと確信できるからこそ、よし更に!と登る勇気を持てたのであり、
私達のような未熟者の二代目オーナー夫婦と共にこれまでいろんな季節を共に歩んでくれた大勢のスタッフ全員の力で、ようやくここに漕ぎ着けています。
特にここ数年主力になって助けてくれたのは、私より少し若い世代のパート女性陣です。
本来社員が背負うような役割まで背負わせてきたにも関わらず、それを「負担」ではなく「喜び」としてくれている気持ちを度々聞かせてくれました。
「社長が“ねぇねぇ、これどう思う?”とか聞いてくださるのがうれしい」「私達みたいなパートの意見でも“それいいじゃん、やってみるか”と聞き入れてくれるのは、やっぱり励みですよ」そう微笑んでくれる若いママ達の思いに応えるのは、彼女らが働き続けられる環境を作ることだけだと思ってきました。だからこそ、誰かが抜ける穴はどこでもすべて、私一人で拾って拾って必ずこなしてきました。
それが「家業」です。
奥さんが走り回り、大変そうな奥さんを助けてあげたいと手伝ってくださる方々に力を借り、お礼を払って成り立つ宿。
それが「民宿」です。
そこから卒業し、主力となってチームを引っ張ってくれるのは一人で体をはる奥さんではなく、責任と役割を担う社員達であり、ベテランパートさんは彼らを押し上げ、これまでどおり、みんながより高みを目指していきいき働ける職場にしたい。1日も早くそこへ行き着きたい。そう思ってきました。
ようやくここまで来れた…
とはいえ、まだまだ途中の一段です。。。
この一段を登るのは並大抵ではありません。今までの道とはまた変わる。その先に何があるのか、何が待っているのか。不安や恐怖や、いろんな感情が波立ちます。
そんなとき、宮ちゃんは私に静かに言ってくれました。
「女将さん、いろんな意見や考えがあるというのはむしろ健全なことです。何か食い違いや誤解があれば、冷静に話し合うことで、むしろお互いに前進できるのでは?・・・ま、言うのは簡単ですがね(笑)」
女将さんがんばって♪と背中を擦ってもらったような、肩に上着をかけてもらったような、そんな思いになりました。
昨夜は宮ちゃん栂池最後の夜でしたので共に夕食を。がっつりお肉を頬張りながら、彼とたくさんのお話をいたしました。
最後はしっかり握手をし、お別れです。
握手って、誰とでもできるものではありませんよね。
お互いに気持ちがなければ、手を差し出し合うことはできないのです。
「しっかり山のお仕事がんばって!また新しいベルグを見に来てね」
「お世話になりました!ありがとうございました」
お互いがありがとうを表す手段として自然と差し出し合い交わされる握手は気持ちのいいものです。
宮ちゃん、たくさん力を出してくれてありがとう。
たくさんの学びをありがとう。
たくさんの思いやりをありがとう。
別れは、出会いの始まりでもあります。
また新しい出会いを楽しみに♪そんな前向きな気持ちでいられるのは、出会って別れる度にお互いが成長し、そこにちゃんと意味があることを知っているからかもしれません。
また新しい出会いを楽しみに♪・・・うん!
ありがとう宮ちゃん(*^ー^)ノ♪